釣りを始めるとき、ロッドやリール、ルアーにはかなり時間をかけて悩む。
でも、それ以上に最初に考えておきたい道具がある。
ライフジャケットだ。
海へ落ちないように気をつけることはもちろん大切。
それでも、濡れた足場で滑ったり、突然バランスを崩したり、予想していなかった波を受けたりする可能性をゼロにはできない。
海上保安庁も、釣りに行く際にはライフジャケットを必ず着用するよう案内している。
ただ、実際に選ぼうとすると少し分かりにくい。
固定式と膨張式は何が違う?
桜マークって何?
堤防と磯、船では同じものでいい?
この記事では、これから海釣りを始める人に向けて、ライフジャケットの種類と選び方をできるだけ分かりやすく整理してみたい。
結論|ライフジャケットは「どこで釣るか」から選ぶ
最初に結論を言えば、ライフジャケットは「一番高いもの」や「一番コンパクトなもの」を選べばいいわけではない。
どんな場所・どんな方法で釣りをするのかに合わせて選ぶことが大切だ。
| 釣り方 | 選択肢の目安 | 特に確認したいこと |
|---|---|---|
| 堤防・岸壁 | 固定式・膨張式など | 浮力・フィット・動きやすさ |
| サーフ | 固定式など | 動きやすさ・収納性・浮力 |
| 磯 | 固定式を中心に検討 | 浮力・フィット・耐久性 |
| 船釣り | 船で使用できる型式承認品 | 桜マーク・Type |
これはあくまで選び始めるための目安。
特に船へ乗る場合は法令や船の条件によって使用できるライフジャケットが決まるため、乗船する船宿などの指定も事前に確認しておきたい。
ライフジャケットは大きく「固定式」と「膨張式」がある
釣り用ライフジャケットを探していると、大きく形の違う製品が出てくる。
初心者がまず知っておきたいのが、固定式と膨張式の違いだ。
固定式|浮力材が最初から入っている
固定式は、ベスト内部などに浮力材が入ったタイプ。
水に落ちてから膨らませるのではなく、着用している状態ですでに浮力を持っている。
釣り用のゲームベストやフローティングベストには、ポケットやプライヤーホルダーなどを備えた製品もあり、ルアーや小物を身につけて移動できるのも特徴。
一方で浮力材が入っているため、膨張式と比べればどうしてもかさばりやすい。
磯やサーフ、ショアからルアーを投げながら移動する釣りでは、有力な選択肢になる。
膨張式|普段はコンパクトで動きやすい
膨張式は、通常時はコンパクトで、必要なときに気室を膨らませて浮力を得るタイプ。
肩掛けタイプや腰巻きタイプなどがあり、固定式に比べて体まわりがすっきりしやすい。
船釣りなどで動きやすさを重視したいときにも使われている。
ただし、膨張式はガスボンベや作動装置などを使うため、購入して終わりではなく、使用前の点検や定期的なメンテナンスも重要になる。
固定式と膨張式はどっちがいい?
| 固定式 | 膨張式 | |
|---|---|---|
| 通常時の浮力 | 浮力材で確保 | 膨張して確保 |
| コンパクトさ | △ | ◎ |
| 収納力 | ゲームベスト型なら高い | 基本的に低い |
| メンテナンス | 比較的シンプル | 作動装置などの確認が必要 |
| ショアでの使いやすさ | ◎ | 場所による |
| 船での使用 | 型式を確認 | 型式を確認 |
どちらが絶対に優れているというものではない。
僕なら、磯やショアからルアーを投げて歩く釣りでは固定式をまず検討し、船などで動きやすさを重視するなら膨張式も候補にする。
大切なのは、釣り場と使い方に合わせることだ。
桜マークとは?「ライフジャケットなら全部同じ」ではない
ライフジャケットを探していると、「桜マーク」という言葉を目にする。
桜マークは、国土交通省が試験を行い、船舶用ライフジャケットとして安全基準への適合が確認された型式承認品の目印だ。
ここで注意したいのは、「桜マーク付きなら何でも、どんな船でも使える」という意味ではないこと。
桜マーク付きにもType A、Type D、Type F、Type Gなどがあり、船舶の種類や航行区域などによって使用できるタイプが異なる。
迷った場合は、乗る船で使用可能なタイプを事前に確認するのが確実だ。
陸っぱりでも桜マークがないとダメ?
ここは初心者が混同しやすいところ。
桜マークは船舶用ライフジャケットの型式承認を示すもので、陸っぱりの釣りすべてに桜マーク付きライフジャケットの着用が法律上求められている、という意味ではない。
一方で、だから陸っぱりなら何でもいいわけでもない。
海上保安庁は、船舶用の型式承認品だけでなく、レジャー用として性能基準に基づく鑑定を受けた性能鑑定適合品も、信頼できるライフジャケットとして案内している。
陸っぱりでは釣り場に適した十分な浮力や性能を持つ、信頼できる製品を選びたい。
堤防なら|着用し続けられることも大切
足場の良い堤防でも、海へ落ちる可能性がなくなるわけではない。
固定式・膨張式それぞれを候補にしながら、十分な浮力があり、身体にきちんとフィットするものを選びたい。
そして意外と重要なのが、長時間着ていても邪魔になりにくいこと。
「暑いから」「投げにくいから」と途中で脱いでしまっては意味がない。
釣りをしている間、きちんと着用し続けられるものという視点も大切だと思う。
磯やゴロタなら|固定式を中心に考えたい
磯やゴロタでは、足場そのものが不安定だったり、波を受けたりする可能性もある。
そのため僕なら、十分な浮力を持つ固定式のフローティングベストを中心に考える。
身体へしっかりフィットすること、釣りの動作を妨げないこと、必要な道具を収納できることなども確認したい。
ライフジャケットを着ているから危険な場所へ入っていい、ということではもちろんない。
安全装備は危険な行動を可能にする道具ではなく、万が一に備える最後の一つだ。
ショアで使いやすい固定式の例|シマノ ゲームベスト VF-024U
固定式の一例が、シマノのゲームベスト VF-024U。
シマノではレジャー用ライフジャケット(固型式)として、大人用浮力7.5kg以上の性能を持つ製品として案内されている。
大型ポケットなどを備え、ライフジャケットとルアーケースなどの収納をまとめられるのもゲームベスト型のメリット。
ショアからルアーを投げて歩くスタイルなら、こうした固定式を基準に考えると選びやすい。
船釣りなら|桜マークとTypeを必ず確認する
船釣りでは、「ライフジャケットを持っているから大丈夫」ではなく、その船で使用できる製品かを確認する必要がある。
桜マークの有無だけでなく、Typeも確認する。
自分で判断しにくければ、予約した船宿に確認するのが分かりやすい。
レンタルを用意している船宿もあるため、初めて船釣りへ行くなら事前に聞いておくと安心だ。
動きやすさを重視するなら膨張式も候補
船釣りなどで身体まわりをすっきりさせたい場合は、膨張式も選択肢になる。
肩掛け式なら腰回りを空けやすく、固定式よりかさばりにくい。
ただし購入するときは、使用する船に適合する型式か、桜マークやTypeまで商品情報で確認したい。
ライフジャケットは「買って終わり」ではない
安全装備だからこそ、購入後の状態確認も大切。
生地やベルト、バックルなどに傷みがないか。
身体に正しくフィットしているか。
膨張式なら、ボンベや作動装置に問題がないか。
メーカーの取扱説明書に従って点検・メンテナンスを行い、必要なら部品を交換する。
しばらく使っていなかったライフジャケットを久しぶりに持ち出すときも、釣行前に状態を確認しておきたい。
初心者を連れていくなら、経験者側から確認する
前回、初心者を釣りに連れていく準備について書いた。
その中でも触れたけれど、初心者は「何が危ないか」自体をまだ知らないことがある。
だから「ライフジャケット持ってきてね」と伝えるだけでなく、どんな製品を持ってくるのかまで確認しておく。
特に子どもなら、体格に合った子ども用を選び、正しく装着できているかを大人が確認したい。
そのほかの持ち物についてはこちらにまとめている。
ライフジャケット以外の安全装備も忘れない
もちろん、安全対策はライフジャケットだけでは完成しない。
- 釣り場に適した滑りにくい履物
- 防水対策をしたスマートフォン
- 帽子・季節に合った服装
- 十分な飲み物
- 必要に応じたライト
そして天候、風、波を確認し、危険なら釣りをしない。
装備を充実させることと、無理をしない判断はセットだと思う。
まとめ|一番使わずに帰りたい道具を、一番忘れない
ライフジャケットは、魚を釣るための道具ではない。
できることなら、一度もその浮力に助けられることなく使い終えたい道具だ。
それでも、海へ行く日は着ていく。
固定式か膨張式か。
桜マークが必要なのか。
どれくらいの浮力があるのか。
自分が行く釣り場と釣り方を考えて、信頼できる一着を選ぶ。
ロッドを忘れれば、その日は釣りができない。
でもライフジャケットは、それよりもっと忘れたくない。
今日も海で遊んで、いつもの道を帰ってくる。
そのための道具だと思う。

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