釣れなかった日の、海の帰り道。

釣れなかった日のことを、どれくらい覚えているだろう。

大きな魚を釣った日のことは、よく覚えている。

何時ごろだったか。
どんな仕掛けだったか。
どこへ投げて、どんなアタリがあったか。

写真もたくさん残る。

でも、釣れなかった日はどうだろう。

2026年9月22日。

この日は5人で、真鶴の海へ向かった。

狙う魚は、それぞれ少し違った。

僕はキジハタ。
一人はハタ全般。
あとの3人はイカを狙いつつ、何か釣れればいい。

そんな、少し緩い5人での釣行だった。

結果から言えば、誰も思い描いていた魚には出会えなかった。

それでもたぶん、この日のことは忘れないと思う。

目次

台風が通り過ぎたあとの真鶴へ

前日の9月21日。

関東には台風25号が直撃していた。

西湘バイパスは高波の影響を受け、真鶴周辺にも台風が作ったうねりが残る予報だった。

行けるのか。
行くなら、どこに入るのか。

前夜から何度も台風の位置や波、道路状況を確認した。

無理ならやめる。
行けたとしても、海を見て危ないと思ったら場所を変える。

そんなことを考えながら迎えた朝だった。

海へ着いたころ、空が少しずつ明るくなってきた。

暗かった海の向こうに、朝の色が広がっていく。

釣りを始めたのは5時半ごろ。

場所は真鶴・片磯周辺。

5人で磯を歩きながら、それぞれ良さそうな場所を探していった。

最初の一匹

7時ごろ。

最初に魚を掛けたのは、久しぶりに釣りへ戻ってきたライトゲーマーの友人だった。

3gのジグヘッドに、熟成アクアのピンテール。

上がってきたのは、15cmに届かないくらいの小さなメジナだった。

もちろんリリース。

狙っていた魚ではない。
サイズだって小さい。

それでも、その日最初の一匹だった。

久しぶりに釣りへ戻ってきた友人が、久しぶりの海で魚を掛ける。

その光景を見られたことが、なんとなく嬉しかった。

▶ メバリングで使っている熟成アクアについてはこちら

フリサバにも、ようやくアタリが出た

僕はキジハタを狙って、ボトムを探っていた。

使ったのは、サバの切り身とワームを組み合わせた、通称「フリサバ」。

▶ サバの切り身とワームを組み合わせた釣り方についてはこちら

何度も投げる。
場所を変える。
また投げる。

けれど、期待していたようなアタリはなかなか来ない。

ようやく反応があったのは8時ごろだった。

上がってきたのは、20cmほどのカサゴ。

キジハタではなかった。

持ち帰るサイズでもないので、写真を撮って海へ帰した。

それでも、ようやく魚から返事があった。

実はこの日は、新しく買った25アルテグラ4000XGの実釣デビューでもあった。

新しい相棒が最初に連れてきた魚は、20cmほどのカサゴ。

華々しいデビューとはいかなかったけれど、これはこれで忘れない最初の一匹になった。

▶ 25アルテグラを選ぶまでに考えたことと、実際に4000XGを選んだ理由はこちら

そこから、魚からの返事がなくなった

海には、前日の台風の名残と思われるうねりが残っていた。

けれど、僕らが待っていた魚からの反応はほとんどない。

ポイントを変える。
仕掛けを変える。
投げる方向を変える。

それでも、良いアタリがない。

時間だけが過ぎていった。

朝マズメもやった。
干潮前後もやった。
潮が上げ始めてからも粘った。

それでも、僕の狙っていたキジハタから答えは返ってこなかった。

ハタを狙っていた友人にも、それらしい反応はない。

イカを狙っていた3人にも、待っていた一杯は訪れなかった。

▶ ハタが釣れないときに見直したいポイントを整理した記事はこちら

雨上がりの磯で

この日、魚以上に気をつけるべきだったものがあった。

足元だ。

前日の雨が残った磯は、想像していた以上に滑りやすかった。

僕も一度、足を滑らせて転んだ。

その際に右手をつき、親指を強く突いてしまった。

かなり痛かった。

もう一人、新しいロッドを買ってこの日持ってきた友人も、同じように足を滑らせて転んだ。

幸い大きな怪我はなかったものの、新しいロッドとリールのスプールエッジには傷が入った。

そのリールは、以前僕が使っていたナスキーだった。

釣りを始めたころから長く使い、最近はラックで眠っていたリール。

エギングに興味を持った友人に譲った、あのナスキーだ。

友人は少し申し訳なさそうにしていた。

でも、もう彼のリールだ。

僕としては、そんなことを気にしてほしくなかった。

道具は海で使えば、いつか傷もつく。

それより、これからたくさん海へ連れていってもらえたらいい。

ただ、この日の経験は忘れないようにしたい。

台風や雨のあとの磯では、波だけではなく足元にも十分気をつけなければならない。

当たり前のことを、身をもって思い知らされた。

▶ 磯や堤防で使うライフジャケットについて整理した記事はこちら

最後の最後に、ナスキーが曲がった

それでも僕らは粘った。

終了予定は12時。

そろそろ片付けようか。

そんな空気になり始めたころだった。

ナスキーを託した友人の竿が曲がった。

仕掛けはフリサバ。

上がってきたのは――

60cmほどのウツボだった。

狙っていたイカでもなければ、僕らが期待していたハタでもない。

それでも、新しく買ったロッドにナスキーをセットして、最初の釣行で一本の魚を釣り上げた。

ラックで眠っていたナスキーが、次の持ち主と海へ戻った。

その光景を見られたことが、僕は嬉しかった。

魚はウツボだったけど。

それも含めて、なんだかあのナスキーらしい。

▶ ラックで眠っていたナスキーが、もう一度海へ戻るまでの話はこちら

5人で釣って、釣れたのは3匹

この日の釣果は、15cm弱のメジナが1匹。

20cmほどのカサゴが1匹。

そして、60cmほどのウツボが1匹。

5人のうち、2人はボウズ。

キジハタも、ハタも、イカも出なかった。

朝5時半から昼12時近くまで粘って、この結果。

釣果だけを見れば、悔しい。

僕自身、キジハタを釣りたくてここまで来たのだから、もちろん悔しくないわけがない。

でも、「つまらなかった」という感覚は一切なかった。

むしろ僕の中にあったのは、

またみんなで海に来られたんだな。

という、少し感慨深い気持ちだった。

5人分のハンバーガー

納竿した僕らは、岩海岸にあるハンバーガー屋へ向かった。

5人分のハンバーガーを買って、そのまま海岸へ。

さっきまであれほど真剣に見つめていた海を、今度は何も投げずに眺めながら食べた。

魚の話をした。
他愛もない話もした。

そして誰かが言った。

「なんか、夏休みしてるね」

みんなで笑った。

もう9月も終わりに近い。

それでも、たしかにあの時間だけは夏休みみたいだった。

朝早くから友達と集まって。
海で遊んで。
腹が減ったらハンバーガーを食べて。

海を眺めながら、他愛もない話をする。

大人になった僕らが過ごす、少し遅い夏休みだった。

それぞれの海の帰り道

食べ終わると、僕らはそれぞれの帰路についた。

一人は僕の車で。
家の近い二人は、一緒の車で地元の方向へ。
もう一人は、バイクで一人帰っていった。

僕の車では、今日の反省をした。

なぜキジハタは出なかったのか。

次に狙うなら、どこへ行こうか。

もうすぐメバルの季節が始まる。

始まったら、また一緒に行こう。

そんな約束もした。

▶ これから始まるメバリングについて、基本をまとめた記事はこちら

そのうち、話題は仕事のことになった。

海から離れるにつれて、少しずつそれぞれの日常へ戻っていく。

あとの3人が、帰り道で何を思ったかは、正直分からない。

今日釣れなかったことかもしれない。
次の釣りのことかもしれない。
明日からの仕事のことだったかもしれない。

あるいは、まったく別のことだったかもしれない。

朝は同じ海を目指して集まった5人が、帰りはそれぞれの道を走っていく。

それぞれの思いを抱えながら。

それもまた、釣りの一日なのだと思う。

釣れなかった日のことも、残しておきたい

この日のキジハタは0匹だった。

ハタも、イカも釣れなかった。

僕は親指を痛めた。

友人の新しいタックルには、海で使った最初の日の跡が残った。

悔しいことはいくつもある。

次は釣りたい。

今日なぜ釣れなかったのかも、ちゃんと振り返って次に活かしたい。

でも何年か経ってこの日を思い出したとき、最初に浮かぶのはキジハタが釣れなかったことではないのかもしれない。

夜明け前の海。
久しぶりに魚を掛けた友人。
新しいアルテグラで釣った小さなカサゴ。
次の持ち主のもとで、また魚を釣ったナスキー。
5つ並んだハンバーガー。

そして、

「夏休みしてるね」

と、みんなで笑った時間。

たぶん、そんなものを思い出すんだと思う。

釣れた日も、釣れなかった日も。

海へ向かう前から、釣りは始まっている。

海から帰っても、釣りは終わっていない。

その帰り道の先には、また次の海がある。


この日の釣行データ

  • 釣行日:2026年9月22日
  • エリア:神奈川県・真鶴 片磯周辺
  • 実釣時間:5:30頃〜12:00頃
  • 人数:5人
  • 狙い:キジハタ/ハタ類/アオリイカほか
  • 釣果:メジナ約15cm弱×1、カサゴ約20cm×1、ウツボ約60cm×1
  • キジハタ:0匹
  • 日の出:5:30頃
  • 潮回り:若潮
  • 干潮:7:55頃・54cm
  • 満潮:0:01頃・120cm/15:23頃・140cm
  • 水温:約25℃台
  • 海況:台風25号通過翌日。うねりが残る状況
  • 主な使用リグ:フリリグ+サバ短冊(フリサバ)、3gジグヘッド+熟成アクア ピンテールほか
  • 特記事項:前日の雨で磯が非常に滑りやすい状態

※潮汐・水温などのデータは当日の予報・観測情報をもとに記録しています。現地の状況とは差が生じる場合があります。

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この記事を書いた人

神奈川の海を中心に、メバリング・ハタ釣り・ショアジギングを楽しんでいます。

釣果だけでなく、海で過ごした時間や景色、感じたことまで残したくて「海の帰り道」を運営中。

実際の釣行や長年使ってきた道具の経験をもとに、初心者にも分かりやすい釣り情報を発信しています。

釣れた日も、釣れなかった日も。

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